わかばVol121 『その鼓動に耳をあてよ』を見て 安藤厚子
やっと春が訪れましたね。
〝きょうは春″〝あすは冬″のくり返しで
桜も開花するのに迷ったのではないかと思われる三月でした。
新年度になり、皆様の中には新たなスタートを切られた
ご家族の方もいらっしゃると思いますが、
皆様お元気に四月をお迎えでしょうか。
わが草貫堂の店先の花壇も春の花が色を添えています。
ところで皆様はよく映画を御覧になりますか?
私は最近『その鼓動に耳をあてよ』という
ドキュメンタリー映画を見てきました。
救急車の受け入れ台数が年間1万台という
愛知県内随一の名古屋掖済会病院のER(救命救急センター)の記録映画です。
医師15人看護師30人で断らない救急をモットーに24時間365日、
様々な患者が運びこまれてきます。
心臓マッサージをされながらストレッチャーに乗せられた患者から、
一方では、鼻にドングリを詰まらせた男の子まで実に多様です。
そこに新型コロナウイルスのパンデミックが始まり、
他の病院で断られた患者が押し寄せ、ベッドは満床…。
10軒以上の病院に断られてやっとこの病院で
「大丈夫です。受けます」の返事に、
電話口の向こうで「ありがとうございます」という救急隊員の声に、
やっと見つかったという安堵感と
感謝の気もちが画面の中の声からだけでも滲み出ていて、
当時の切迫感が伝わってきました。
また、別の場面では、長らく認知症で寝たきりのおじいさんが、
いよいよ食べられなくなって病院に運ばれてきて、
この今の状態は医学的には
自然の成り行きである事を家族に納得してもらうために
じっくりと説明するのも仕事のひとつであり、
メスを片手に一分一秒を争う救命処置ばかりが
ERの仕事ではないのを知りました。
『いのち』というものを目の前にして、
〝動″と〝静″の仕事が入り交じったのが現場なのですね。
テレビの医療ドラマのイメージより
現実ははるかに地味で地道で葛藤だらけの世界のようです。
きっと極限の体力と精神力が必要とされるのでしょうね。
映画を見終わった隣の席の人が
「あのドクターたち、過労死しないか心配になったよ。」の声に
私も同感でした。
やはり救急医を希望する人は少ないとの事です。
普段、お世話にならない時は、忘れがちですが、
こういう病院があってこその社会が支えられているのだと改めて認識しました。
体を張って頑張ってくれている救急医に声援を送りたいと思います。
話はがらりと変わりますが皆さんは〝名古屋めし″は何がお好きですか?
先日、九州から来てくれた夫の友人に
みそカツ、ひつまぶしと案内をして
「次はどこに行きたいですか?」と尋ねたら
「もう行列するのは勘弁してくれよ」とのことばが返ってきました。
名古屋も見る所、食べる所は色々とあります。
こころ浮き立つ春です。
皆さんも楽しんでくださいね。
ご健康を祈ります。
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