漢方の草貫堂

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2024年2月13日火曜日

 わかば Vol120 「だし」と「煎じ」 安藤厚子

 

皆様、能登半島地震から始まった今年の元旦より1か月、

いかがお過ごしでしょうか。

この雪降る寒い時期に被災された方々の事を思うと胸が痛みます。

少しでも早く今までの日常が戻ってくるのを願うばかりです。

 

ところで皆様、お正月はおせち料理を召しあがりましたか?

おせち料理など恥ずかしながらまともに作ったことのない私ですが、

少し前に棚の引き出しから母が遺してくれた

古い茶封筒に入れられたサビ釘を見つけ、

黒豆を煮ようと思いたちました。

どんな出来になるのかヒヤヒヤでしたが、

サビ釘のおかげかつやだけは鮮やかに煮ることができました。

一般に和食は昆布、鰹節、椎茸などの『出汁』の〝うま味“のおかげで

調味料も少なくて済み、

お膳で三角形を描きながら食べる事で考えながら食べるので、

おのずとご飯も見合う量となり、無意識のうちにバランスがとれて、

口の中で味が完成されるという話を聞きました。

糖や油脂の多い料理は直接味がすぐわかり、

食べてすぐうまいので、ついつい食べ過ぎる傾向にあり、

その点〝うま味”は時間をかけて味わうので食べ過ぎないようです。

日本は島国で四季が育んだ山の幸、海の幸があり、

そのすばらしい食材を季節で器を変えるのは和食の特徴のようです。

冬は土の温かさのある陶器、

夏はガラスの器や涼しげな青磯などの磁器を用いたりします。

何と繊細で情趣豊かなのかなと感心します。

日頃はそこまで器にこだわらなくても

私たちは水から煮だしそこから出た汁、

うま味成分となった『出汁』が味の基本となった和食を毎日食べています。


食事ではありませんが

民間薬の薬草も同様に煎じた汁が薬となります。

たとえば〝ゲンノショウコ“という薬草は

下痢の時は半量になるまでよく煮つめて

飲むたびに温めて服用しますが、

便秘の時は沸とうしたらすぐ火からおろし、

この場合は冷たいものがよいとされています。

煎じ方(煮だし方)によって用途が変わります。

おもしろいですね。

だから出汁も煮だし方で微妙に味がちがうのですね。

現代はおしゃれな給食が好まれ、子供たちの好きな物、

ハンバーグ、カレー、パスタが多くなり和食が減る傾向だそうです。

『食は命』といわれ、子供もおとなも毎日の食卓が体をつくっていきます。

できるだけバランスよく摂りたいですね。

さて「この世の最後の晩餐に何を食べたいですか?」

と質問をされたら皆様はどのように答えられますか?

食に対する欲求があるというのは『生きている』という事だと思います。

どうぞ皆様も食事を美味しく感じられる

幸せな一年をお過ごしくださいね!!

ご健康を祈ります。

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