漢方の草貫堂

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2018年1月12日金曜日
                                          みどり色のこと       2017.12.22

 私はみどり色が大好きです。みどり色と言っても色々あります。薄いみどり色から順に、黄緑色から、エメラルドグリーンに、お茶色(サップグリーン)、深緑に青緑です。その緑の中の緑、油絵の具で言ったら、「ビリジャン」です。この緑色を一番綺麗に見られるには、どうするか。
 子供の頃から、木の緑を際立たせるには、緑の真ん中に、あるいは端っこに群青色を付け加えると木の緑が一段と映えると感じて水彩画を描いて来ました。
 また黄色の中に緑を置いた緑は、そのままの緑と違って不思議と引き付けられます。



  小学校の頃、サイコロ取りが一時期流行りました。サイコロは、一センチ五ミリくらいの立方体の焼き締められた陶器のサイコロです。五個のサイコロを手で転がして、始めに、ひとつを取って投げ上げて、それが落ちる前に、他のひとつを取り、落ちてくるサイコロを受けて、順にひとつづを取っていき、取り終わったら、次は一つを投げ上げて、二つを取り、同じ動作を繰り返して、三つ、四つと取って行き、失敗すると交代で、二三人で遊びます。お手玉と同じ要領です。陶器ですから、掛けたり割れたりします。そこで誰かがビニールテープで巻いてするようになりました。私はどういう訳か、必ず黄色を巻きそれと直角に緑のテープを巻きます。黄色と緑の組み合わせが一番気に入って、それに落ち着きます。

 そこには、緑と黄色が織り成す色の祭典を眺めているとなんとなく、心が癒やされて、嫌なことを忘れられた経験を何度もして来ました。
 
 時が流れ、家の近くに定年退職されて、もと教師の先生が陶芸教室を開かれて、「日常の仕事で忙しいなら、お正月に私もロクロをしてますから、来て一緒にやっても良いですよ。」と言って下さり、それに甘えて、ロクロをさせてもらっています。始めにその先生に、伊良湖岬で買ったまだ青い椰子の実を見てもらいながら、「こんな色が出したいです。」と話すと「そのままの緑ではないが、織部が比較的に近い色だからその織部の釉薬を掛けてみなさい。」と言われたのが、釉薬織部との初めての出会いです。織部だけを掛ける総織部は、濃淡変化はあるものの何となく画一面であまり面白味も感じられなかったのです。


  そのうちに、何か良い知恵は、ないものかと捜していたところ、日本陶磁全集なるものを見つけて、毎月一冊づつ買うことにしました。その中に黄瀬戸の焼き物が載っていて、黄色に織部の緑(本当は、織部とは別物の【胆礬】タんバンという銅の化合物だそうです。)が綺麗に調和した写真がありました。しばらく十年の間でしょうか、艶あり黄瀬戸をはじめ、次は艶なし黄瀬戸に織部を掛けて試みて来ましたが、全集の写真の様な、焦げ茶色のお焦げが散見され、薄い黄色の黄瀬戸の下地に、気に入った織部の緑が発色する事は、ありませんでした。


  
  それが長い間、ずっと緑を生かすのは、黄色しかないと思い込んでいましたが、今年になって、偶然に白地に緑が映えることを見つけました。
 
 それは、雲南省昆明で皮膚病研修の帰りに、翡翠の原石の半端ものを見つけて買って来ました。その翡翠は、乳白色の中に色々な緑が綺麗に収まっています。
 濃い深緑に、薄いみどりに、エメラルドグリーンも混ざっていて、自然の調和とは素晴らしいと感じました。


その翡翠のみどりに触発されてぜひ焼き物で表現せずには、おられない衝動に駆られて居ても立っても居られなくなりました。
その収まり方も、水の上に墨を垂らして、適度に墨の広がりの頃合いを見て、紙を乗せて写し取った墨の軌跡が描いた渦巻き状の模様のようでもあり、また、空にぽっかりと浮かんだ綿雲の様でもありました。。 
 
 陶芸の先生に翡翠の原石を見せながら、教えを乞うたら、「釉薬は、白萩と透明釉を半分づつ混ぜて下地を掛けて、その上に織部を散らして、焼いてみては。」と言われたので、お皿とお抹茶茶碗にその通り掛けてみました。      焼き上がって来て、その結果にほぼ満足しました。これからは、下地に濃いめの白萩と透明釉混合物を掛けて、濃度の濃い織部と薄い織部を作って、時間差を作って、振りかけてみようと夢が膨らみました。   

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